Lab. Hygienic Sci.
Kobe Pharm. Univ.
Publications

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Disruption of Thymic Microenvironment with Age: Remodeling of Blood Vessels and Extracellular Matrix
Hiroshi Hasegawa, Mari Kondo, Takumi Hikida, Kei Nakayama
BPB Reports 6: 208-215 (2025)
T細胞を産生する免疫器官である胸腺は加齢により退縮するため、高齢になると免疫力が低下します。したがって、加齢による胸腺の退縮を防止できれば、健康寿命の延伸に役立ちます。
本研究では、若いマウスの胸腺と年寄りマウスの胸腺では、血管の構造や細胞外マトリックス分子であるI型コラーゲンやラミニン、テネイシン-Cの局在が変化することを示しました。また、細胞外マトリックスの再編成に重要な役割を果たすマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)のうち、MMP-3の発現が加齢に伴って上昇し、MMP-7の発現が高齢になると減弱することを示しました。このような細胞環境の変化が、T細胞の産生能低下に何らかの役割を果たしていることが考えられます。
卒研生の疋田君が卒業研究で頑張ってくれた成果をもとに、近藤さんが丁寧に解析してくれました。胸腺退縮と細胞外マトリックスの関連については不明な点が多く、創薬ターゲットを見つける上でも貴重な成果と考えています。
Kei Nakayama, Hiroshi Hasegawa
BPB Reports 6: 239-245 (2025)
食事制限は胸腺の退縮を引き起こし、免疫力を低下させます。しか し、栄養の不足がどのように胸腺の退縮を引き起こすかは分かっておらず、当研究室ではこれまでもそのメカニズムを解析してきました。
今回の論文では、48時間の食事制限がIV型コラーゲンの誘導を促し、胸腺の線維化を促していることを示しました。IV型コラーゲンは血管の足場などに機能する線維性のコラーゲンですので、IV型コラーゲンが集積していることは血管周囲を始めとする胸腺内の微小環境が大きく変化していることを示唆しています。
Mari Kondo, Hayato Tamura, Eri Segi-Nishida, Hiroshi Hasegawa
Brain Sciences 15: 810 (2025)
脳梗塞は高齢になってから罹ることが多い疾患です。一方で、動物実験モデルを用いて行う研究では、若いマウスを解析に使用することが多いです。この差を埋めるために、本論文では、若いマウスと年寄りのマウスを用いて、脳梗塞の病態にどのような違いがあるのかを検討しました。
実験の結果、年寄りマウスでは、若いマウスと比べて、脳梗塞部位でのミクログリアの活性が低いこと、グリア瘢痕の形成が抑えられていることを示し、これらの違いにはHDAC7-TLR4の発現変化が関与していることを提唱しました。
近藤さんがこれまでの知識と経験を注ぎ込んで完成した力作。卒研生の田村君も頑張ってくれました。長らく疑問だった加齢と病態の関係にアプローチできたのはとても意義深いと考えています。